無職になり、有給期間も終わり、失業保険の手続きやらしつつ色々考えた結果、身体も心も弱い私は「やっぱり普通に働くのは無理っす」ということになり、しばらくいけるところまで「個人事業主」としてやってみることにしました。
(想定している事業に「個人事業主化」が必要だったことも大きい)
ということで色々調べて実際に開業手続きをやってみましたが、思ったよりはあっさり終わりました。
今回は、「まだ収入がほとんどない準備段階で、すでに事業に関して色々手を付けている状態で開業するケース」を前提に、実際に私がやったこと・つまずいたこと・「先に知りたかったこと」をまとめます。
結論、準備フェーズで開業しても大丈夫どころか、
- 開業前の支出を「開業費」としてまとめられる
- 青色申告の65万円控除はでかい
- 会計フローを早めに整えられる(後から開業費で処理するのは期間が長いほど面倒)
- メンタル的に「もう事業を始めたんだ」と切り替えやすい(一応無職ではなくなる)
…など、メリットは多かったです。
ただ、少しは手間はかかるので、「メイン事業を形にするまで突っ走るぜ」という方は、一旦個人のまま進めるのも時間効率的にはいいかもしれません。
開業前にまず「全体像」をつかむとラクになる
すぐに細かいことにこだわって先に進まなくなり、いろんなサイトを開いているうちに一日が終わるというあるあるパターンになってしまうので、まず全体像の把握から。
進行中の一番ストレスは、「情報が散らばりすぎて全体の地図が見えない」ことなので、ここで先がある程度見えていることは重要です。段取り八分。
とりあえず必要そうなやることと流れはざっくりこんな感じ。
- 目的の言語化(何を事業にしたいのか)
- 開業形態の決定(屋号、自宅を事業所にするか、青色か白色か)
- 開業届の提出(e-taxでできる)
- 青色申告承認申請書の提出(これもe-taxでできる)
- 事業用口座・クレカの準備(いらんかった)
- 会計ソフトの選定と初期設定
- 開業費の整理(一覧化)
- 税金・社会保険まわりの最低限の確認
1.目的の言語化(何を事業にしたいのか)
- 自分が今後収益化したい活動を書き出す(例:動画制作/デザイン/物販/講座など)
- その中で「すぐ始められるもの」「準備が必要なもの」を分ける
- 売上ゼロでもOK。とりあえず“方向性”を1行で書ければ十分
- ※ここを決めておくと、後の「事業内容」欄や開業費判断がスムーズ
2.開業形態の決定(屋号・事業所・青色/白色)
- 屋号をつけるか
- つけても良い/つけなくても良い
- 後から変更可能
- 事業所をどこにするか
- 自宅でOK(大多数がこれ)
- 賃貸の場合は契約でNGになっていないかだけ確認
- 青色申告にするか白色にするか
- 青色一択(65万円控除のため)
- e-Tax提出&簡易簿記の条件を満たせばOK
3.開業届の提出(e-Taxでできる)
- マイナンバーカード or IDパスワード方式を準備
- e-Tax で「個人事業の開業・廃業等届出書」を作成
- 入力する内容:
- 氏名・住所
- 屋号(あれば)
- 事業開始日
- 事業内容(例:動画制作・デザイン等)
- 事務所所在地(自宅でOK)
- 送信後、控えPDFを必ず保存
- ※税務署から返信は来ない(正常)
e-taxも準備が面倒っちゃ面倒なので、時短するなら↓のようなサービスもあるようです。
4.青色申告承認申請書の提出(これもe-Tax)
- 提出期限:開業日から2ヶ月以内
- 開業届と同じタイミングで出すと効率的
- 「青色申告する」を選択し書類を作成
- 入力項目:
- 事業開始日
- 青色申告の種類(複式簿記 → 65万円控除)
- 収支関係は現時点で空欄OK
- 送信後、控えPDFを保存
5.事業用口座・クレカの準備(※実績ゼロだと作れず不要だった)
- 最初は個人口座・個人カードでOK
- 屋号口座は売上が少し出てからでOK
6.会計ソフトの選定と初期設定
- freee/マネーフォワードなどどれを使うか決める
- 開業の初期設定(事業内容/開始日/申告方法など)
- 個人口座、個人カードを登録
- 勘定科目の基本設定
会計ソフトを色々試した結果「マネーフォワード クラウド確定申告」に落ち着きました。
7.開業費の整理(一覧化)
- Googleスプレッドシートで一覧を作る
- 必要項目:
- 購入日
- 品目
- 金額
- 用途(事業に必要だった理由)
- 領収書 or メール明細の有無
- 追加で確認すること:
- 開業前の支出も対象
- サブスク・本・カメラ機材・交通費もOK
- PCなど10万円以上は開業費ではなく固定資産
8.税金・社会保険まわりの最低限の確認
- 必要最低限でOK
- やること:
- 国民健康保険・国民年金は現状維持
- 所得税 → 青色申告で65万円控除の要件確認
- 住民税 → 開業初年度は前年所得ベース
- 事業税 → 一定利益超えたら発生
- とりあえずの結論:
- 「開業した瞬間に追加で何か手続きが必要」ではない
- 収入が出てきたタイミングでまた確認すれば十分
それぞれのステップに「別にいらなかったこと」や「落とし穴」がありました。
流れを全部書くと長すぎるので、ここからは、特につまずいたところを中心に掘り下げます。
税務署に開業届を出したのに『返事が来ない』理由
1,2と進んで3はマイナンバーカードがあればあとはちょっとしたものを準備するだけで自宅で完結できます。
こういうのは早めがいいだろうと思い、開業日より1週間以上前にe-taxで電子申請しました。しかし、開業届を出しても税務署から一切連絡が来ません。提出したら何かメッセージや郵送物が届くと思い込んでいましたが、開業日が近づいてもなんのレスポンスもないので不安になりました。
改めて調べてみると、国税庁の「個人事業の開業・廃業等届出書」にかかれていました。
開業届は提出したらそれで完了、返信はないよ
だそうです。
e-Taxの場合、送信時に出た通知みたいのをPDF化したものが控えになるようです。
紙で欲しい場合は税務署窓口に行ってなんかしないとなんないらしい。
提出の目安は「開業日から1か月以内」とされていますが、遅れたからといって罰則があるわけではありません※。準備段階で開業しても問題ないし、割と適当です。
※制度は変わる可能性があるので、最新情報は国税庁のサイト(個人事業の開業・廃業等届出書)を確認してください。
青色申告の承認申請は「開業日以降」
開業届を先走って提出してしまったので、青色申告承認申請書は後から出すことになってしまいました。
開業日になってから同時に出す、で十分でした。
開業日を待って、e-Taxから青色申告承認申請を送信。これも特に返信はありませんが、送信時にエラーでなければ大丈夫です。
青色申告承認申請の提出期限は、「開業日から2か月以内」。自分で会計をやることに抵抗がなければ、青色にしておくと特別控除が使えるので、将来の節税余地がかなり変わると思われます。
e-Taxの画面行政特有のインターフェイスなので少し分かりにくいです。提出後の控えPDFは、提出が終わったらポップアップが出るので、その場でPDFをダウンロードすればOKです。後からも出せるので間違って消しても気にしない。
青色申告の制度や控除額の詳細は、国税庁のタックスアンサー(青色申告特別控除|国税庁)を見るのか確実です。
余談 屋号は適当だった
外部とあまりかかわらない事業をする個人事業とはいえ、屋号についてはちょっと悩みました。
ローマ字のものにしたのですが、開業届入力時、フリガナ欄かと思いカタカナで入力。送信したら取り消せないシステムなのでもう直せない。
ちょっと凹んでいたら、個人事業の屋号はどうも適当なようで、簡単にあとから変更できます。
確定申告時に新しい名称を記載するだけでいいらしい。
ということで、あまり悩まず進めてしまって問題ありません。
事業用口座・クレカは準備段階ならいらない(というか作れなかった)
会計管理上事業用口座があったほうがいい、という情報があったため、なんとなく専用口座の申込みをしましたが、実績ゼロの開業直後だと、屋号口座の審査はまず通らないようです。
「GMOあおぞらネット銀行」がよさそうなので申し込んでみたら、事業の準備期間では用意するのが難しい追加資料を求められたので、サクッとキャンセルしました。会計管理ったって当面は仕訳入力することなんてほとんど無いことに気づき、既存の個人口座を事業と共用する方針に切り替えました。
税務上「個人口座=事業で使えない」というわけではないので、プライベートと事業の入出金を分けて管理できていればOKです。将来、売上や実績が積み上がって、会計処理が面倒、となってから屋号口座を作る、というのが正しい流れのようです。
私は個人の口座が「住信SBIネット銀行」だったので、目的別口座に「事業用」というものを作ってみました。
freeeの初期設定で一番つまづいたのは「開業費入力」
会計ソフトはとりあえずfreeeをテストすることにしました。簿記や経理をかじったことがある人間からするとちょっと使いにくいので別のものに移行予定。
ただ、どの会計ソフトを使うにしても、今回の私のように開業日前に準備期間があった場合、「開業費」は事前にまとめておいたほうがいいです。
開業費とは、「開業前の準備のために支払ったお金を、あとからまとめて経費にできる仕組み」のことです。私の場合は、たとえばこんなものがあります。
- PCなどの機器
- デザインソフトのライセンス
- 本や教材
- オンラインサービスの利用料(サブスク)
- 撮影のための移動交通費
「これはさすがに関係ないかな」と思ったものも、調べてみると意外と開業費として認められるケースがありました。それはいいのですが、ここ数ヶ月でプライベートと混在している購入履歴の中から該当するものをピックアップして、freeeに1件ずつ手入力していくのがしんどすぎる点です。(自動仕訳機能もありますが、このパターンだと手入力の方が早い)
そこで途中から方針を変えて、Googleスプレッドシートで一覧を作ってからfreeeにまとめて登録しました。項目はシンプルでOKです。
- 購入日
- 品目
- 金額
- 用途(なぜ事業に必要だったのか)
- 領収書やメール明細があるか
この一覧があるだけで、freeeへの登録スピードがかなり変わります。
開業費は“資産”なので準備段階の支出もムダにならない
開業前の支出は、税務上は「開業費」という資産として扱えます。
ざっくり言うと、
- 開業前の準備のために使ったお金を
- 「開業費」としていったん資産に計上し
- あとから一括 or 数年にわたって経費化できる
というイメージです。なので、売上ゼロの準備段階であっても、開業しておくだけで「のちのち経費にできる種」がたまっていく状態になります。
繰延資産(開業費を含む)の扱いについては、国税庁の「繰延資産の償却」のページ(繰延資産の償却|国税庁)が参考になります。
細かい判定や「どこまでが開業費か」は、正直グレーなところもあるようなので、心配なら、メモをしっかり残しておき、必要に応じて税理士さんや税務署の相談窓口で聞く、のが正攻法です。
個人事業主の申請をしてみて「先に知りたかった」「先にやった方がよかったこと」
振り返ってみて「先に知りたかった」「これは先にやっておいた方が良かった」と感じたことをまとめておきます。
- e-taxの申請はレスポンスが無い
- 控え書類等の置き場を決める(Google Drive)
- 簡単でもいいので開業費の一覧表を作る(スプレッドシートでOK)
- 屋号の扱いは適当
まとめ:準備段階で開業するのは『早すぎ』ではなくむしろ合理的
準備段階で開業するは必要かどうかと問われると、正直まだわからない段階です。
それでも実際にやってみると、
- 開業費として準備段階の支出を整理できる
- 一応自分の中で区切りが着く
という意味では、やってみてよかったと思います。
※一応注意書き
税金や社会保険の扱いは人によって状況が違います。このブログはあくまで一個人の体験記なので、よくわからないことは税理士さんや、税務署・市区町村の窓口と相談しつつ進めてください。


