「パソコンを買い替えたので新しい方にデータ等を移してほしい」という依頼があったので移行作業を行った。
古い方のノートPCの調子が悪いようで、データをコピーしている最中に落ちることがある。転送速度も遅くて面倒なのでHDDを取り出して直接新しいPCへ繋いでコピーすることにした。
無事移行作業は完了したが、「古い方もできれば普通に使えるようにしたい」とのことで預かってきたのが『HP 15-g007AU』。
設定を確認したりなんやかんや調べた結果、ソフトウェアではなくハードウェアに不具合があるようなので一通りばらしてみることに。
結果、不具合は以下の原因によるものだった。
修理のために一通りばらしたけどこれは結構分解が面倒なタイプだったので記録を残しておく。
HDDを取り出す所までの手順
新PCへのデータ移行に手間取ったのでHDDを取り出して直接繋いでコピーした。
バッテリーの取り外し
下写真の向きで置いた時、左側がロックなのでスライドさせて解除する。その後右側をスライドさせるとバッテリーが少し浮くので引き抜く。
スライドだけで外そうとすると結構固いので、ちょっとスライドさせるとできる本体とバッテリーの間の隙間に爪を引っ掛けて引っ張ると外しやすい。
底面のネジの取り外し
まず頭が見えている底面のネジ10個を外す。
バッテリー側の左右ゴム足の裏にもネジがある。ゴム足をヘラか尖ったものでうまいこと剥がしてネジを外す。
ネジを外したら角のカバーを外す。下画像のようにスライドさせれば軽く外せる。
光学ドライブに隠れているネジの取り外し
光学ドライブは最初に外した底面ネジで固定されているだけなので、引っ張れば取り外すことが出来る。
ドライブを外すと2つネジが見えるのでそれを外す。
キーボードの取り外し
引っかかりを外す
ファンクションキー側にヘラかマイナスドライバーのようなものを差し込んで引っかかりを外していく。下画像の矢印位置に目印の凹みとツメがある。
左右にも2箇所ずつツメがあるのでそれも外せば持ち上げられるが、ケーブルがつながっているので勢いよく持ち上げて壊さないよう注意。
キーボード裏のケーブルを外す
キーボードを少し持ち上げるとMBにつながるケーブルが見える。
外す時は黒い部分をパカッと持ち上げてから斜め上に引き抜く。この部分は弱いのであまり強くやらないよう注意。
キーボード周りのパネル取り外し
鉄板の穴から見えるケーブル2箇所を取り外す
キーボードを外すと鉄板の穴からケーブルが見えているのでそれを外す。
これも先程のキーボードのケーブルと同じ構造で固定されているので、止めている部分をカパッと開けてケーブルを引き抜く。
鉄板のネジ4つを外す
下画像の赤丸4箇所のネジを外す。
縁の引っかかりを外す
タッチパッド側の角あたりにヘラを差し込んで少しずつ引っかかりを外していく。
下画像の赤丸位置あたりからだと外しやすかった。
HDDを外す
パネルを外すと右下にHDDが見える。
HDD右側のネジ2つを外してから透明のフィルムを持ってスライドさせれば外せる。このネジは他のと違って長いので、戻す時間違えないよう注意。
マザーボードを取り外すところまでの手順
ファンの継ぎ目からホコリがあふれるくらい詰まってたのでマザーボードを外して掃除することにした。
MBからケーブルとネジを取り外す
下画像紫丸のネジ3つを外す。左側の無線LANカードを止めている1つだけ違うタイプのネジなので注意。
ネジを外したら赤丸のコネクタ4箇所を外す。これは全て引き抜くだけのタイプ。
※のあるコネクタはバーコードのついたシールから透明のフィルムが飛び出しているので、そこから半分くらい剥がせば引き抜ける。
マザーボードを取り外す
左側USBなどのコネクタがプラの筐体に引っかかっているので先に右側を少し持ち上げてうまいことずらしながら外す。
左側を持ち上げつつ裏返すと右側のUSB基板から伸びているケーブルの接続部分が見えるのでこれを外す。キーボードの時と同じくカパッと開けてから外すタイプ。
マザーボードを外すとこんな感じ。
マザーボードの状態
ここでようやくメモリにたどり着ける。最大8 GBだがシングルスロットなので今刺さっているものと入れ替えないと増量できない。
スイッチ基板の修理
スイッチがおかしいということだったのでスイッチの基板を見たら、セロハンテープで補強されているもののケーブルと基板の接続部分がわずかに浮いているっぽい。
セロハンテープを剥がそうと慎重に端からカリカリやってたらぽろっと外れてしまった……。
こういうのは詳しくないのでよくわからないが、FFCを基板に圧着?しているようだ。スイッチを押すとわずかに基板がたわむので、それで徐々に剥がれてきてしまったのだろうか。
もう一度テープで貼り付ければ直るかと思ったが、真ん中の2本は基板のパターンが途中までモゲてしまっていて貼り付けるだけではダメっぽい。
調べたらこのスイッチ基板単体でパーツ販売されていたので買って交換すれば簡単だけど、通電すればいいんだからどうにかならんものかと観察して試したのが以下。
完全にだめになった真ん中の2本のパターンをたどっていって、その先に直接繋いだだけ。何度か試験したが問題なく機能している。本当にこれでいいものなのかはよくわからないが……。
パターンを見るために継ぎ接ぎした画像も載せておく。
キーボードの分解清掃
上からブロワーで吹いたら凄まじい量のホコリと猫の毛?が出てきた。これで直るかと思ったがダメだったのでバラすことに。
ただかなり面倒で割りに合わないので、外からブロワーやエアダスターで吹いてもダメならキーボードまるごと交換した方がいい。型番『NSK-CN6SC』で調べると2,000円位で売っている。
キーボードの枠パーツを外す
裏面鉄板側にプラ溶接されている頭が30箇所位あるのでその頭を切っていけば外すことが出来る。
キートップを外す
パンタグラフが壊れたら面倒なのでだいぶ慎重に以下の手順で外した。
まずキートップ左上の引っかかりを、隙間にヘラか何かを入れて持ち上げて外す。持ち上げすぎないように軽く押さえながらのほうがいい。外れるとパキッと音がするので分かる。
左上の引っかかりを外したらキートップを時計回りに回転させるようにひねると左下の引っかかりが外れる。右下を左に押してもOK。
左上から薄いものを突っ込んでスライドさせると右上の引っかかりが外れる。
右下はここまでの工程で勝手に外れていると思う。
左上が外れにくかったら右上からでもOK。その場合上記のやり方を左右反転させればいい。
ファンクションキーの行は片方の角を外したら勝手に外れると思う。その他大きいキーは金具の補強が入っているものもあるので隙間から中の構造を見ながら慎重に。
パンタグラフを外す
画像のようにパンタグラフを持ち上げた状態にしてから、矢印の隙間にマイナスの精密ドライバーを差し込んでこじって2つのパーツを繋いでる部分を外す。隙間を開けながら内側のパーツを下に落とす感じで。
反対側の繋いでいる部分も同様に外せば鉄板から出ているツメから外せる。
色違いの小さいパンタグラフは上側の左右どちらかの角の引っかかりをマイナスの精密ドライバーで外す。
テンキー部分はは90度回転した向きで付いていたり、サイズや形が微妙に違うものがあったりするので注意。
フィルムの隙間を掃除する
ここまでくればラバードームのシートをめくってフレキシブル基板との間を掃除し放題になる。
ラバードームシート、基板、鉄板を完全にバラバラにすることもできるが、ケーブルの根本部分を主に他のところも点々とテープ?で接着されているので隙間を掃除するだけなら無理に剥がさずそのまま作業した方がいい。
修理しての感想
単に分解が面倒なだけでなく、手順を間違えると簡単に破損する部分も多くて大変だった。できたら使えるようにしたい程度の要望だったので、正直ここまでして直すほどのものではなかったと思う。特にキーボードはとりあえず外付けすればいいし。
一応直せたしいい経験にはなったけどもうキーボードはバラしたくない……。
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