雰囲気が生まれる場所 #03 | 空気感を「設計」すると起きること

頭の中

ただの個人の調査メモです。

前回の続き

※「店(主にスーパーなどの小売や飲食系)によってなんでこんなに雰囲気に差があるんだろう」という疑問から始まった調査メモです。


雰囲気は客にとってもスタッフにとっても重要で、
空気感が客層やトラブルに直結するなら、
なぜ本部レベルで、もっと本気で設計しないのでしょうか。

行動心理学、環境設計、防犯理論。
理屈も事例も、すでに世の中には十分あるように見えます。
それでも現実には、貼り紙や注意書きで済まされることが多い。

まぁ、こんなところで言わなくても、
そんなことはすでに企業側は重々承知しているでしょう。

調べてみると、あえてやらない、わかっているけどできない理由が見えてきました。

調査メモ① 雰囲気は、意図的に作ることができる

雰囲気は、偶然に任せるものではない。

  • 照明
  • 視線の抜け
  • 人の配置
  • 声かけの距離感

これらを調整することで、人の振る舞いは確実に変わる。

行動心理学や防犯環境設計では、「空間が行動を誘導する」ことは常識になっている。

調査メモ② それでも本部が本気でやらない理由

① 排除が発生する

雰囲気を意図的に整えると、必ず「居づらくなる人」が出てくる。

  • たむろしたい人
  • ルールを守らない人
  • 目的外利用をする人

空間設計による無言のフィルタリングは差別ではない。

しかし企業にとって、

  • 「すべてのお客様に開かれた店」という建前と、
  • 実際に起きる排除

は相性が悪い。

雰囲気を整えるとは、人を選ぶことを選択する行為でもある。

高級ブランドとかは客を選びたいから雰囲気をバリバリに整えるわけですね。

② クレームの「質」が変わる

荒れている店のクレーム:

  • うるさい
  • 汚い
  • 危ない

整った店のクレーム:

  • 冷たい
  • 居心地が悪い
  • 排他的

後者は、

  • 主観的
  • 感情的
  • 数値化しにくい

対応コストが高い。

経営判断としては、分かりやすいクレームの方が処理しやすい

③ 現場教育の難易度が跳ね上がる

雰囲気を作るには、

  • 声かけのタイミング
  • 言葉選び
  • 立ち位置
  • 視線の配り方

といった、マニュアル化しにくい技術が必要になる。

ということは、

  • 採用
  • 育成
  • 定着

すべてにコストがかかる。

貼り紙は安く、早く、誰でも導入できる。
人を育てるより、紙を貼る方が楽

④ KPIに現れない

雰囲気が良くなっても、

  • 売上に直結するとは限らない
  • 効果が出るまで時間がかかる
  • 成功しても「当たり前」になる

一方で、

  • 人件費
  • 教育費
  • 改装費

は即座に数値に出る。

短期KPIで評価される構造では、雰囲気改善は後回しにされやすい。

KPIって何よ?

  • ちゃんと仕事が進んでいるかを、数字で判断するための目安
  • たとえば売上、来店客数、クレーム件数など
  • 雰囲気が良くなっても、それがすぐ数字に現れるとは限らない

⑤ 成功すると「個性」がなくなる

全店を心理学的に最適化すると、

  • 均質
  • 無難
  • 面白みがない

という批判も出る。

チェーンの強みである「どこでも同じ安心感」と、弱みである「画一性」。

雰囲気設計で、それらの両立は難しい。

だから「貼り紙」で済ませる

以上を踏まえると、貼り紙という選択は合理的でもある。

  • 安い
  • 即効性がある
  • 証跡になる
  • 誰も傷つけない

少なくとも表向きは。

貼り紙は、利用者向けの注意であると同時に、内部向けの免責として機能する。

結果、空気の設計は放置され、言葉だけが増えていく

トップ層も色々大変なのはわかりますが、
やはりトップ層の能力不足?適正がない?決断力のなさ?
が元凶に思えてしまいます。

  • 数値化できない
  • マニュアル化できない
  • 人に依存する

こういう経営者にとって怖い領域に向き合えないなら経営なんてすんな、
「経営者で在るのであれば超えてみせろ(イケボ)」
というのは厳しい要求なのでしょうか。

まあ特に上層部がわちゃわちゃしているようなところだと、
向き合う以前の問題で

  • 極端に寄せる
  • 判断を先送りする

という選択になってしまうのはもうテンプレですね。

  • 経営者 ≠ 覚悟がある人
  • 経営者 = 役割上そうなった人

日本では特に

  • 創業者ではない
  • サラリーマン上がり
  • 任期付き
  • 評価は短期KPI

というケースが多く、「恐れを超える動機」が弱いのもあるのか…

一人ひとりが労働者、出資者、経営者の役割を持つという、理論上はユートピアみたいな種類の法人が存在しますが、それはまた別の話。

調査メモ③ それでも「やっている会社」は存在する

一方で、スーパーや量販店寄りでも、雰囲気をブランドの一部として扱う会社もある。

共通点は、

  • 出店数を急激に増やさない
  • 店長裁量を信頼する
  • 数字より事故率・定着率を見る
  • 短期最適より摩耗回避を選ぶ

これは技術ではなく、経営思想の問題

数字がどうこうとはまた違う
経営哲学的なもの?

そのうえで数字のいい会社もあるはず。
何が違うのか?
庶民としてはやっぱりトップ層のせいにしたくなってしまう。

一気に出店しまくって、いつのまにかひっそりしているのは飲食店でよくみかけますが、数字しか見てなかった結果なのか?

ここまでのまとめ というか感想

雰囲気を設計しないのは、無知だからではありません。

  • 排除
  • クレーム
  • 教育コスト
  • 評価構造

それらを引き受ける覚悟が、経営側に求められるからです。

貼り紙は、その覚悟を先送りするための、最も手軽な手段でもあるようです。

空気感をよくしようなんて曖昧すぎて
個々の裁量に任せざるを得ない」という方が実態に近いのかも。

次回予告

当初の疑問からは離れたようなそうでもないような。
店側の視点はなんとなくわかってきたけど、
まだいまいちすっきり解決とはなっていません。

店から社会の方へ視点を移してみると、
なぜこうした構造の中で「雰囲気を読める人」の方が消耗するように見えるのか、
という疑問が湧きます。

次回は、
日本社会は「読める人」を前提にしている
という話を整理してみます。

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